この冬、ホットコーヒーを快適に飲むことができる容器を求めて、象印のフタ付きタンブラーを購入した。しかし、フタの中に水が溜まるようになってしまったので別の容器を探していたのだが、常用できそうなタンブラーに出会ったので書き残しておきたいと思う。
新たに購入したのは京セラから発売されている「CERAMUG(セラマグ)」シリーズのタンブラーだ。

京セラのタンブラー?
京セラってあの京セラ?
そう、京セラドームでお馴染みの京セラだ。

京セラが何の事業を行っている会社なのか、いまいちよく知らない人も多いのではないかと思うが、京セラのセラは「セラミックス」のセラ。セラミックスとは、無機物の粉末を高温で焼き固めた素材のことで、京セラはそのセラミックスに高機能を付加した「ファインセラミックス」の専門メーカーとして1959年に創業された会社だ。
現在は電子部品や機械工具、スマートフォン、宝飾品に至るまで、さまざまな製品を手掛けているが、高い研究開発力と優れた技術力で培ったセラミック材料は200種類にものぼり、セラミックスを使ったキッチン用品も多数展開している。
CERAMUGの価格、デザイン
CERAMUG(セラマグ)は、そんな京セラのセラミックス技術を活かして作られた飲料容器シリーズで、今回筆者が購入したのは300mlサイズのタンブラー(型番:CTB-300-BK)だ。お値段はなんと5,170円。公式HPでもAmazonでも価格は変わらない。
箱を開けると中にはビニールで包装された容器が入っている。

取り出してみるとこんな感じ。特に際立つところもないシンプルなデザインの容器だ。


外側は少しザラザラとした素焼きのような風合いで、タンブラーというより湯呑みのような見た目と質感かもしれない。

金属製品のような冷たい感じはしないので、食卓で使うのにもマッチしそうだが、外観からはなぜ5,000円もするのかまったく分からない。
詳しく調べてみると、その理由は機能性にあるようだ。
CERAMUGの特徴
セラミック加工で金属臭がない
一般的に保冷・保温の効果があるタンブラーの素材はステンレス製のものが多いが、ステンレス製の容器にコーヒーを入れると金属成分が溶け出してしまい、コーヒー本来の風味や香りが損なわれてしまうことがある。実際に飲んでいて金属臭が気になったことがある…という人も少なくないのではないだろうか。
CERAMUG(セラマグ)シリーズの容器は、本体自体はステンレス製だが、内面にセラミック加工が施されている。そのため、陶器製のコップの様な口当たりを感じられるほか、金属成分が出にくいので、飲みもの本来のおいしさを楽しめるのが特徴だ。


公式HPによれば、ホットコーヒーを注いで8時間後の金属成分溶出量を比較したところ、陶器と同等の結果が得られたらしい。筆者も実際にホットコーヒーを入れて飲んでみたが、確かに金属っぽい臭いや味がしない。陶器のマグカップで飲んでいる感覚にかなり近い気がする。
真空断熱構造で温度をキープ
陶器のマグカップは、金属臭がしなくて飲みやすいけれど、温度が冷めやすいのが難点だ。
CERAMUGシリーズの容器はステンレス製の真空断熱構造になっていて、側面や底面を魔法瓶のような真空の二重構造にすることで熱の移動を遮断。また、内面の外側に銅メッキが施されているため、熱を内側に反射させて放熱を防ぐことで保温・保冷効果を高めている。

この容器に取っ手がついていないのは、そうした断熱構造により「熱くて持てないことがない」というのが理由だ。
実際に熱々のホットコーヒーを入れても外側は熱くないし、氷を入れたドリンクを入れても冷たくならない。容器の外側が冷えないということは結露をすることもないので、夏はアイスコーヒーを入れて楽しむのにも適しているだろう。
また、熱い飲み物で使う場合は事前に熱湯を入れて予熱を、冷たい飲み物で使う場合は事前に冷水を入れて予冷をしておくと、保温・保冷効果をより高めることができる。
撥水性が高く手入れしやすい
CERAMUGシリーズの容器は、内面にセラミック加工が施されているため、撥水性が非常に高い。少し見づらいかもしれないが、内面に細かい水滴が浮き上がっているのが分かるだろうか。

一般的にタンブラーのお手入れの仕方は、使用後すぐに洗って十分に乾燥させるのが基本だが、CERAMUGのタンブラーは水滴が浮き上がりやすいので水分を含んだ汚れがつきにくく、洗った後の水切りがしやすい。食器洗い乾燥機にも対応しているので、手洗いが面倒な場合には他の食器とまとめて洗ってしまえば手間もかからない。
焼酎割りの容器にもピッタリ
このタンブラーは内面が酸やアルカリに強いため、コーヒー以外のさまざまな飲み物に使えるが、とりわけ焼酎割りが好きな人には使い勝手が良さそうだ。
というのも、容器の形状を見ると、真ん中あたりを境に上の方が少し広がっているのが分かる。

実はこれ、境目の上下比率が4:6になっているのだ。
焼酎好きの人ならピンときたかもしれないが、焼酎の割り方は焼酎と水の割合を6:4(ロクヨン)にするのが王道。その比率を表現したデザインになっている。6:4の境目は容器の真上から見みてもうっすらと識別できるので、お湯割りくらいなら境目のラインを参考にしながら、目分量でちょうど良い焼酎割りを作れるかもしれない。
メリットとデメリット(使用感)
実際に使ってみた感想として、CERAMUG タンブラーのメリットは以下の点が挙げられる。
・陶器のように金属臭がしない
・金属製並みの保温保冷効果がある
・ステンレスが基材のため落としても割れない
つまり、陶器製の飲みやすさと、ステンレス製の保冷保温効果や頑丈さ、両者のいいとこ取りをしたようなタンブラーなのだ。
また、飲み口が上に向けて広くなっている形状もポイントで、冷たい飲み物の場合は氷が入れやすく、温かい飲み物の場合は香りを楽しむのに適している。さらに手で持った時に指が引っかかりやすいので、滑りにくいという利点もあるのだ。

逆にデメリットについては価格が高いの一言に尽きる。300mlサイズのタンブラーで5,000円オーバーはかなりの高価格。内面にセラミック加工が施されたタンブラーは、他のメーカーからもいくつか発売されているが、2,000円ほどで購入できるものが多いし、ニトリなら1,000円以下で買える。
にもかかわらず、筆者がこのタンブラーを購入したのはメリットがデメリットを上回ると考えたのと、Amazonでのレビューの高さだ。本記事の執筆時点で479件のレビュー数があり、平均評価は4.4点と他のセラミック加工タンブラーと比べて高評価だ。
念のためサクラチェッカー(sakura-checker.jp)で調べてみたところ、サクラ度が0%だったため、レビューの信憑性も高そうに感じる。

また、高いセラミック技術を持つ電気機器製造メーカーが作ったタンブラーということで、機能性が高そうなイメージを持ったというのも影響しているかもしれない。
Q&A
使用上の注意点は?
説明書には食洗機を使用すると金属痕が付く場合があると書かれているので、キズが気になる場合は台所用の中性洗剤を使って手洗いした方が良い。汚れが落ちない場合は、酸素系の漂白剤も使用できるが塩素系はNGだ。また、サビや保温・保冷効果の不良原因になるため、水中には30分以上放置しないようにしよう。
他の色はあるの?
ブラックの他にホワイトがある。Amazonのレビューには「ホワイトだと色が付きやすい」というコメントが複数見られるので、コーヒーや緑茶などの色が付きやすい飲み物を入れて使う場合は、ブラックの方が良いかもしれない。
他のサイズはあるの?
300mlタイプの他に420mlタイプがある。こちらは境目の比率が「6:4」ではなく、ビールと泡の黄金比である「7:3」になっている。ビールを飲むなら420mlタイプの方が良さそうだ。
他の種類はあるの?
CERAMUG(セラマグ) シリーズとしては他に、タンブラーのフタ付きタイプ(350ml / 500ml)、水筒のようなボトルタイプ(180ml / 300ml / 500ml)がある。また、タンブラーの白黒2色が化粧箱に入ったギフトセットや、好きなアルファベット2文字を刻印できる名入れタンブラーもあるので、贈答用にも使えそうだ。
まとめ
真冬の時期、陶器のマグカップだとホットコーヒーを楽しめるのは、せいぜい10分〜20分くらいだろうか。それに対してこのタンブラーは、1時間くらい経っても熱々とまでは言わないが、まぁまぁ温かい。フタありの製品を選べば、さらに保温時間を伸ばすことができるだろう。
また、公式HPでは2時間経過しても氷が残っている様子が公開されているので、保冷機能も高そうだ。

「マグカップはすぐに飲み物がぬるくなってしまう」「金属製の容器だと臭いが気になる」といった人には向いているタンブラーではないかと思う。逆にそうでない人にとっては、値段ほどの価値を感じられないだろう。
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